相手にとってポジティブな事実を伝えることが,ポジティブに受け入れられるとは限らない,という当たり前の話

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下の記事に,納得半分,不満半分.
なかなか理解されないんだけど,声を大にして言いたい.
医学的にポジティブな結果を伝えることが,患者にとってポジティブな通知であるとは限らない,ってことを.

生存率が90%でも、「自分は助からない」と思い込む
(中略)
そしてどんな心配りをして伝えたところで、ほとんどの方は「現状を正しく受け止める」ことができません。

cited from がんの告知と“魔の2週間” (page 2):森山紀之の「拝啓 これからがんになる皆様へ」:日経Gooday

とか,そういうレベルじゃなくて.
仮に,現状が正しく共有されたとしても,相手が同じ感想を持つわけではない,ということを理解して欲しい.

父親は抗癌剤が効くかどうか分からない状態で抗癌剤治療を始めた.
「患部のレントゲン写真を見るとショックを受けて落ち込むから見せないで欲しい」と母親から医者に伝えていて,癌の告知はしているものの,ずっと画像は見せずに治療をしていた.
約半年後,ある抗癌剤が効いて患部が小さくなったので,主治医はその経過に喜び,フィルタの役割をしていた母親は不在中であったが,早く伝えてあげようと,父親に説明した.レントゲン写真を見せながら.

医学的にはポジティブなニュースだったのだろう,とは思う.しかし父親にとっては,癌がまだそれなりの大きさで,具体的にどこに残っているということが分かることがショックであったらしい.
結局,その後は癌が急激に進行し,告知から約2週間で没した.

あと,

「きっと死ぬんだ」と沈み込んでしまう人と、「自分は大丈夫だ」と希望を持って
生きる人とは、その後の経過が全然違うといってもいいのです。医学をやって
いる人間として、科学的に説明のつかないものは信じたくないのですが、
ストレスから解放されて前向きに過ごすことが、体に与える影響は計り知れません。

cited from がんの告知と“魔の2週間” (page 2):森山紀之の「拝啓 これからがんになる皆様へ」:日経Gooday

ホント,これ.

身内の医療関係者からは「良くなっている兆候を知って落ち込むなんて考えられない」と言われたが,それはその当人の価値観であって,そうでない人もいるんだし,ましてや,こちらから事前に伝えているのだから,少しは理解して欲しかった.